skillkills – Ill Connection

skillkills4枚めとなるアルバム「Ill Connection」の録音とミックスを担当しました。前作に引き続き自身のレーベルIllgenic Recordsからのリリースです。
 
 
録音メモということで、、。最近ドラマーブログをつけ始めたドラマーRhythmkillsこと弘中聡さんのツイートから、ドラム録音現場のようすを見てみたいと思います。
以下、文中では聡くんと敬称で呼ばせていただきます。
 
 

 
AとかCとかFとかHとかってのは曲名の符丁ですね。どれがどれかはメンバー以外知らないことですけども、聡くんは曲に合わせてスネアやセッティングを変えてますので、ヒントになるかもですね。
 
スキルキルスの4作目の録音メモは、この現場写真に解説を付け加えていく趣向で参ります。
 
 
 
Aの写真。
スネアにかぶさってるのは、僕が録音でいつも持ち歩いてる牛革の端切れですね。厚み・重み・ざらつきが適度で重宝します。場合によっては2~3センチ四方の小片に切って使ったりもしますし、帯みたいにしてバスドラムのレゾナンスサイドに垂らすことも過去にありました。この曲はこのまま本番でミュートとして使ったんだっけかしらん。
 
この写真の見所は、ハイハットのマイクが実は下から上に向かって狙ってるという。アルバムのなかで、このセッティングをした曲がいちばん高い周波数帯域が強く聞こえると思うんです。さてどの曲でしょう、、。
バスドラムは厚手の毛布などでくるんで、かぶりを抑えます。写真の緑色のはColemanの封筒型寝袋です。疲れたらくるまって寝ちゃえる、など。
 
 
 
Fは、キックとスネアのスナッピーの共振を抑えるために、スネアを厚手のフェルトでくるんでます。フェルトもいつも持ち運んでます。
 
奥に見えるマイクはリボンマイクですけど、最高に好きなやつです私が。でもたぶんそこに置いてあるだけですね。通行人としてエキストラ出演、的なシーンですね。嬉しいです。
 
 
C、、タムのマイクは裏側にだけ立ててますね。写真に写ってないですけど、オーバーヘッドのマイクが2本立ててあって、それらでドラムセットの音を作ってます。作ってるというのは半ばウソ、作らないですむというほうが本当に近い、と豪語するのもくちはばったいですが、演奏されてるドラムセットのバランスを一番よく録れる位置に立ててるつもりです。
 
たいがいこのオーバーヘッド2本でバランスいいのですが、キックやスネアなどのオンマイクを混ぜていくとオーバーヘッドマイクで拾っているタムの音は遠いというか低音が足りない感じがしてくるので、裏側マイクをてきとうに足してくわけですね、ミックスのときに。
 
裏側マイクは、タムをスティックがヒットしたときのアタックというかトランジェントをじゃましない、また、バスドラムの位置がマイクの指向性の裏側(いちばん音を拾わない角度、ナルNULLといいます)にあるという利点があります。タムの表のマイクだと、タム越しにバスドラムのほうを向きますよね。それって結構バスドラムの音を拾います。(時によってはタムもスネアと同じように表と裏に1本ずつ立てます。表だけってのは録音ではあんまりやんないな、、)
でもこのセッティングは、タムの表裏のヘッドがバランスよくチューニングされてないと効果的でないことがありますわけですが、聡くんはそのあたり全く心配なくてすばらしいです。

 
ハイハットマイクの狙うポイントは、スネアのピッチや曲調によってこまめに変えてます。
 
 
マイキングについては、狙うポイントというか、避けるべき角度というのがまずありきで、残った角度の中から狙うポイントを決めていきます。
 
「マイクから見える」という言い方をするんですけど、マイクの指向性というか、マイクに与える影響の大きさを視線のアナロジーで考える言い方ですね。英語圏の人がよく使う概念です。
 
マイクの指向軸上にあってマイクから見えているものは、マイクの膜面(ダイアフラム)に直接的な影響を与えます。物陰にあると、影響は間接的あるいは限定的にすることができる、、そう願いたい、、思い込みや誤差ではないと信じたい、、、いや、ちゃんと変化あります。
 
なにかの物陰にあれば、周波数分布的には中域以上は減衰させることができますし(逆にいえば低音の影響は減らせない)、時系列的には、打楽器のインパクトが瞬間的に膜面に与える影響を減らすことができます。さえぎってる物の材質とか形状とか、部屋の音響っていう要素はありつつ、まあ原則的にそうです、っていうことでいいですか。
 
んで、ハイハットのマイクから、(ハイハット越しに)スネアやほかのドラムが見えちゃってるとよくないつうか、マイクの膜面上でのタイコの低音成分の影響力に従属的になる部分がある。厳密なようでざっくりぼやかした言い方が、われながらうまいですね。
 
 
H、マイクスタンドつかって吸音材がたててありますね。ドラムセットの下の厚手のカーペットというかラグ、これも私が録音には持ち運んでるものです。
 
あとAの写真の左のほうにみえるウッドカーペットを丸めたの、パーティションとか反響板としていつも持ち運んでます。鏡があるような部屋や、四角すぎて反響がヘンになっちゃってる部屋なんかには重宝します。
 
録音機材とミュージシャンエリアのゾーニングにも使います。演奏中に録音機材が見えるのって気が散ると思うので、目隠しです。
 
 
マスタリングはイギリスThe SoundmastersのKevin Metcalfeさんです。
RhythmはGreat、BassはHugeで、マスタリングしててとても楽しかったとコメントしてくれました。
 
(君島)